現実か夢か…神話の世界 石見神楽
石見神楽
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私は昔からレトロティックな写真に興味があり、明治・大正・昭和の初めの写真には何故だか心惹かれるものがあります。
戦争という暗い影を残しつつ、近代化に触れ、皆一生懸命に生きている。 
そんな息づかいが聞こえてきそうです。

そんな写真が、有福温泉の御前湯の二階にある休憩スペースに展示されてあります。
当時の有福温泉の様子が写し出されていて、当時はこんなにも活気があって、人がいて、華やかだったのか・・・・
と偲ばせる写真の数々。

写っている衣装や車などは金田一耕助シリーズにそのまま出てくる様なものばかり、なんとも言えない雰囲気です。

ゆっくりと有福の湯に浸かり、その後、この写真達を見て下さい。

セピア色の写真を眺めていたら、その時代へタイムスリップしたよう

人々が行き交い、人が大声で話し、芸者さんがいそいそと小道を上がって行く、路線バスが止まり、大勢の人が乗り降りしている・・
着物姿の人や、中にはハイカラな洋服を着た紳士や淑女も・・・

昔の華やかだった時代 栄華・・・・

有福の湯はその時代もコンコンと湧き続け、現在に至ります。
その湯に浸かることは、当時の華やかな時代も感じさせてくれ、懐かしみにも似た静かな気持ちにさせてくれます・・・・。



神楽は稲刈りが終わって、五穀豊穣の感謝の意味も兼ねて
行われ ます。

秋のその神楽シーズンの本番では、だいたい夜の8時ぐらいから
始まります。
神社に明々と照明が付き、たくさんの人、楽しそうな笑い声、出
店のいい匂い、そしてあの独特な囃子の音・・・。

小さい頃は両親に手を連れられて連れて行ってもらっていた。
各町に社中があり、その神社にて一晩中舞いが舞われる。

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子供達は学校の同級生達と遊んだり、おかしを食べながら毛布に
潜り込んで神楽を見る。
大人達は一升瓶を持ち、家から持参した特製のお弁当とお酒を飲
みながら、地元の人と酒を酌み交わしながら神楽を見る。

この独特の囃子の音を聞くとなんだか胸が騒ぐ・・・
祖先より伝わるDNAがその音に反応するのだろうか?
人々のざわめき
漂う酒の匂い
少し寒さを感じる秋の風

時間が早いうちは、子供達は好きな鍾馗だとか面をかぶった魔物
は出てこない。 案外とのんびりとスマートなものだ。

夜が更けるとともに、ますます面白くなってくる。
おどろおどろしい面、きらびやかな衣装、激しい舞い・・・。

子供達には遅すぎる時間帯、いくらがんばっても眠くなる、そし
て子供達は、眠いのやら怖いものみたさやらで、少し意識が遠の
く・・・ 正に夢の世界

これは現実か 夢か
そして、神話の世界へ入り込む・・・

白いけむりの中、早いテンポの囃子が流れる
横笛、太鼓、小太鼓
呪文の様な台詞 そして掛け声

正義と悪の戦い 勝者と敗者 戦と平和

激しい舞い 張りつめた緊張感 ほとばしる汗 興奮 リズム!
全てのものが一体となり、神話の世界が目の前に繰り広がれる

神話の世界がここにはある・・・。

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夜明け前のクライマックスには決まってヤマタノオロチ
舞い手が上手だと本当に生きているように動く大蛇
そのリアリティさに子供達は泣き叫ぶ

何頭も出てきて、まさに暴れまわる 口から火を吹く

スサノオノミコトが登場しその場がさらに盛り上がる
この神様は正義や強さの象徴
愛する者の為に戦う強さ 恐怖に臆することなく立ち向かう勇気

その姿に 自分だったら同じ事が出来るか? 
と観客は自分と重ねあわせる

囃子のリズム 乱れ打たれる太鼓、怒号の様な掛け声
激しい動き、剣を振り回しての舞い


大蛇の逆襲 激闘!!!

もはや舞い手も観客も一緒になりトランス状態へ入り込む
興奮・歓喜  そして、スサノオノミコトの勝利・・・


スサノオノミコトの勝利の舞いが舞われると、東より朝日が神社
の中に差し込む

壮麗かつ優美な舞いを皆で見届ける

この時になると、なぜこの石見神楽(舞い)が何百年もこの地に
絶えることなく続いているのかが判る

それは”ある感覚”であり、言葉で言い表すのは大変難しい

この石見神楽を体験した者にしか判らない”感覚”なのだろう・・・

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